設立趣旨

近年、国の医療政策としても、日本では健康日本21、米国ではHealthy People 2010 といった提言がなされており、個人個人が健やかで心豊かに生活できるためのサポートの必要性が述べられています。この動きに呼応する形で、患者やその家族 だけではなく、一般の方々を対象とした様々なヘルスサービスが登場してきており、その中でもインターネットを含めた情報技術(IT)を活用したヘルスサー ビスや健康教育(e−learning/e−health)などが注目を集めています。

ヘルスサービスの究極の目的はサービスの質の向上とアウトカムの改善です。アウトカムには、死亡率や罹患率などの数字以外にも、生活の質、利用者や医療従 事者の満足度、さらにはコストなどが含まれますので、これらをバランス良く考慮する必要があります。また、アウトカムは個人的な要因も影響しますので、ヘ ルスサービスを利用する個人のニーズを的確に把握し、そのニーズに合致したソリューションを提供しなくてはならず、そのためには上記アウトカムを適切に評 価する必要があります。

適切に個別化されたヘルスサービスを実現するには、医療従事者だけではなく、様々なシステムやプログラムの専門家、そしてこれらを開発・販売する企業など 多くのプレーヤーによる共同作業が必要不可欠です。つまり、ソリューションの適切な個別化と、包括的な視野に基づいたプロセスの統合化が必要になります。 ビジネス界では、個別化した顧客マネジメントであるCRMや情報技術を利用した業務の統合化であるERPが注目を集めており、ヘルスサービスにも応用可能 であると思われます。

ヘルスサービスにおけるデータや情報、知識の流れを理解し、適切にマネジメントを行うための学問や技術の集大成を健康情報科学(health Informatics)といい、その範囲は医学の中だけではなく、学際的な広がりをもちます。またヘルスケアサービスシステムが、どのように医療の質の 向上やアウトカムの改善に寄与するのかを科学的に評価する手法として臨床疫学や決断科学の重要性が、近年、認識されてきています。

私たち「特定非営利活動法人 ヘルスサービスR&Dセンター」は、このような領域を担う人材の育成、ヘルスサービスに関する開発・研究と評価に関するプロジェクトを実施あるいはサポー トすることを目的とし、実際の臨床や生活の場に目を向けた研究・開発をあらゆる面からサポートしたいと考えています。

さらに、海外における成功例などにも目を向け、国際的・学術的な視野からのヘルスサービスの向上に寄与することを目指しており、日米両国においてこれらの分野で優れた実績を持つ学術機関やNPOとの協力体制を取っていく予定です。
こ のような学際的な教育や交流を実現する上で、産官学の間、日米間、そして医療従事者と他の専門家との間の架橋が必要となります。このような学際的連携を実 現するためにも、適切なトレーニングを受けたプロフェッショナルで構成され、社会的に認められた特定非営利活動法人の設立が望ましいと考えています。

平成15年1月1日
ヘルスサービスR&Dセンター(CHORD-J)
理事長 青木則明
副理事長  大石まり子
理事 大生定義


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